受講体験記 2017年

I K (医師)

「本当の健康ってなんなんだろう」

毎日いろんな患者さんと接する中で、そんな考えが湧いてきて、次第に頭から離れなくなっていました。そもそも薬を飲むことで表面上の検査値をコントロールして満足することが健康といえるのか、果たしてそこが治療の真の目的なのか。

大病院に勤めていた頃は、緊急処置を要する患者さんの治療にあたり、救命のためのその場をやりきる必死の治療などに追われる日々で、そんなことを考える余裕も無く、目の前の事に忙殺される日々でした。

多くの重症患者さんを診てきたから、“薬”を使ってでも少しでも将来の病気を防ぐ一歩になるのなら、、、という思いで今まで治療をしてきたように思います。

病気になってしまうと本当に大変で、そこから健康を意識するようになっても、そこから先は「これ以上悪くならないように」ということが治療の主体になってしまうことがほとんどのように思います。

クリニックに勤めるようになると急を要さない患者さんが大半であるため、じっくりとその人達と向き合う時間が持てるようになりました。生活習慣病といわれる高血圧や脂質異常症、糖尿病の治療を長いこと続けている人、不眠や日々のストレス対処が困難でちょっとした悩みからなかなか抜け出せない人、「発熱、腹痛、下痢、嘔吐、食欲不振」といった体調不良で受診する人など、毎日数多くの方と接していますが、共通して言えるのは「医師、患者双方が、その(病状・病態・症状の)原因そのもの、およびその意味に真剣に目を向けていない(目を向けようとしていない)」「ただ目先のことの改善を求めているから、結局根本的な解決には至らない」ということでした。表立った症状に対する対症療法をすることでお互い満足するのではなく、真の原因に対して本気で向き合わないといけない、ということを漫然と感じたのでした。

どこからアプローチしてどのように患者さんとの向き合い方を変えていったら良いのだろう、と考えていたときに目にとまったのが、今回の栄養医学指導師養成講座でした。

現代医療の偏りを鋭く指摘するところから始まり、細胞環境レベルで見る病状・病態の考え方、普段の健診などでは考える事の無い分子整合医学に基づいた検査データ解析、腸内環境と免疫力、糖質に対する考え方、歯科水銀中毒の実態、がんに負けない身体づくり、副腎疲労、遅延型フードアレルギーなどなど、多種多様にわたる講義内容で“薬”が主体ではないアプローチが、毎回新鮮で興味深いものでした。

未病をテーマとしたこれからの医療、患者さんとの向き合い方に、多くのヒントを貰う事が出来たと実感し感謝しております。

健康の定義は人それぞれかもしれませんが「とりあえず目先の症状を何とかして欲しい(何とかしてくれれば良い)」という風潮を変えたい。病気になってしまう前に、症状およびその原因に向き合い対処指導できるよう、日々患者さんと向き合っていきたいと思います。

講師陣の先生方、協会スタッフの皆さま、どうもありがとうございました。